スーパーカブのレビュー

スーパーカブ

筆者は12Vキャブ車の、スーパーカブ90DXに現在も乗っています。郵便局での配達もしていたので、丁度切り替わった110ccや50ccも乗っていました。実際に所有してみて良かった事、悪かった事。また110になって大きくモデルチェンジして良かった事、悪かった事を纏めてみます。

スーパーカブ90

初心者向けでも有るし、玄人向けでも有る

バイクに数年も乗っている人は、どういうバイクを買おうか。バイクで何を主にしようか。何を楽しもうか。目的が有る程度しっかりしているし、何が楽しくて楽しく無いのか解っているので、用途次第で選ぶバイクも大体決まっています。しかし免許を取ったばかりの初心者が乗り始めてみると、バイクの良し悪しが思っていた事と違ったり。そのバイクの良さが解らない事が多いです。何故ならばその人の中での比較対照が少ないからですね。

その点カブは価格が安いので、失敗したと思ってもダメージが少ないです。また自転車を除けば最強の移動手段ですので、最悪でも通勤通学の足にする事も出来ます。

例えば、通勤通学で年1万キロ乗るような使い方をしてる人は、ハイブリッド車で精々実燃費が20㎞/ℓの燃費だと思いますが。カブは110で燃費を気にしない走り方をしても40㎞/ℓ位(燃費走行すれば50近くも)は超えて行きます。ハイブリッド車の20㎞/ℓは1ℓ150円計算で年、約75000円。一方カブは40㎞/ℓ計算で37500円。ノンハイブリッド車の軽自動車ですら15㎞/ℓクラスですから、年間約10万円。数年乗れば車体の元が取れてしまいます

保険もファミリーバイク特約に入ってしまえば、年間6000円程度ですし。自賠責や自動車税、車体のメンテナンス代を入れても。車との2台持ちでさえ、ガソリン代で浮いてくるレベルです。通勤通学で天気の良い日は原付、悪い日は車という使い方も出来ます。都会での駐車場代等を考慮しなければですが。

玄人向けでも有るというのは、カブの懐は広く、遊び方が色々有るからです。例えばオフロードタイヤを履いてちょっとした林道へ行ったり。積載を増やす為にリアカーを付けれるようにして、キャンプツーリングを楽しんだり。スパイクタイヤもラインナップで有りますので、冬季の北海道へ行ってみたり。他のバイクでも勿論出来ますが、カブはある程度過酷な条件も絶えれるよう、シンプルかつ頑丈に作ってあるので、懐はとても深いと思います。

ヤングマシンより。新旧ハンターカブ
リヤカーとカブ
冬季北海道の定番?

人力以外ではコストパフォーマンスは最強

前述の通りガソリン代は車と比べればかなり節約できますし、同クラスのバイク達と比べても燃費は良い分類に入ります。

 JA61 スーパーカブ110プロ ディスクブレーキ+キャストホイールに

日本では仕様が違う所が有りますが、カブは主にビジネスバイクとして、郵便配達や新聞配達に使われています。郵便局では約8万5000台保有しているそうです。走れば勿論タイヤやブレーキは減って交換が必要になります。時にはエンジンも摩耗してくれば、交換したり、廃車にして新車に入れ替える等と言った事も有ります。自分が配達していた頃のキャブ車のMD90(50)はメーター3周(30万㎞走行)してる個体も有りましたが、オイルを吹きながらもまだまだ走れそうでした。

ホンダの純正部品でも、それだけ修理に部品が出る、需要が有る物は、メーカーとしても計算がしやすく。在庫を抱えなくて良い物は保管等のコストも抑えられるので、価格が安くなります。

また純正以外のタイヤやチェーンやブレーキパッド等も、同クラスのバイク達(スクーター等)と比べても安いです。特に400cc等と比べるとその差は歴然で、カブのチェーン(ノンシール)は2000円で買えるが、400ccになると数万円(シールチェーン)と5倍以上の差が付きます。持つ走行距離が同じ位なのですが、それくらい差が有ります。

2009年以前のFI化になる前のキャブ仕様のカブのエンジンは、中国や東南アジアでコピーされ。載せ替えてポン付けすれば走れるようなエンジンも有ります。またベトナム等ではバイクの事をホンダと呼ぶくらい、ホンダのカブやスクーターが沢山走っています。つまり探せば部品が沢山ある訳です。カブ90は実際85ccで3速なのですが、125ccの4速の中華エンジン等が安く手に入り。安価に一気にパワーアップを感じれたりします。耐久性はなんとも言えませんが・・。90までのエンジンはマニュアルか遠心クラッチかの違いは有るものの、基本的に50ccのDAXやモンキーと殆ど同じです。

通称タイカブ スーパーカブ 100
スーパーカブ C125
リトルカブ50周年モデル

キャブの90からインジェクションの110にモデルチェンジして

MD110 JA07型

郵政カブの丁度切り替わって行く時代に、ゆうメイトという契約社員で郵便局で働いていました。カブ90までは日本生産だったと思います。110になった最初期のJA07型は部品は主にタイ生産で、日本で組み立てるという形でした。切り替わったばかりなので郵便局内でもやはりトラブルは結構有りましたギアが入らなくなったり、燃料ポンプ周りの故障。何度も乗りましたが、クラッチが2段クラッチになり、変速のショックなどは少なくなりましたが。距離を乗っている個体はクラッチがよく滑ったり中々つながらなかったりしました

スーパーカブ110 JA07型

その後のJA10型、いわゆる中国生産のカブも同じようなトラブルが有りました。改良された110のエンジンはトルクも有るし、燃費も良い。変速のショックも少なく、ノーマルでも100㎞/hは出る。最初は良いことが多いですがキャブ車だった時代のほぼノントラブルで、メーター3周(30万キロ)でもまだ現役と比べてしまうと、耐久性劣るのは間違いありません。

JA10型

カブは楽しいか?  

良い点

コストパフォーマンスを考えずに、二輪としての楽しみ方を考えると。ぶっちゃけ400cc以上のバイクを乗った方が楽しいと思います。じゃあカブが悪いかと言えば、全くそんな事は無いです。利点は重量が100kgくらいと、400ccの約半分という軽さ。これは個人的には自転車に乗ってるような気軽さを感じます。取り回しがとてもしやすいし、多少路面が荒れていても大きなバイクで感じる不安感は少ないです。軽さは転倒時のバイクのダメージ軽減にも繋がります。リッターバイクは立ちごけでレバーやステップが使い物にならなくなってしまったりしますが、カブはちょこっと曲がっただけですんだりしますステップは曲がった物を曲げて元に戻せば終わりです。(何度もコケて戻してを繰り返すとポッキリ根本から折れますw)

パイプやハンマーで曲げて元に戻す

チェーンカバーがチェーン全体を覆うように出来ているので、チェーン自体が汚れにくいし、ホイールに飛び散ったりしないので、非常にメンテがらくちんです。高価なシールチェーンじゃなくても十分耐用出来ます。面倒くさいので、汚れを落とすのはパーツクリーナーで簡単にやって。乾いたら安いチェーンルブを適当に、ベトベトにしちゃって終わりにしていますwシールチェーンだったら、こんな雑な使い方は出来ません。

原付ですのでトンネルや橋の通行料金がめっちゃ安い所が有ったりします。例えば埼玉県秩父市と山梨県山梨市を結ぶ、雁坂トンネルは普通車が730円の料金に対して、原付で有れば70円と10倍も差が有ります。後は中国地方と四国を結ぶ、しまなみ海道も125cc超のバイクでは高速道路(高速料金約4000円)を走る事になりますが、原付で有れば自転車や徒歩と同じ道(橋だけ渡る)を走る事になり。高速道路では行けない島に行けたりします。

原付で困る標識その1
しまなみ海道、原付は歩行者や自転車と同じ所を走る

前述の通り東南アジアや中国では似たようなコピーバイクが沢山走っていますので、向こうのカスタムパーツが沢山有ったり。また安く買う事が出来ます。例えば有名な所はアウトスタンディングモーターサイクル(通称アウスタ)です。ちょっとホームページを覗いてみると、なんとなく解って頂けると思います。店舗を構えてる所で有名なのは東京堂でしょうか。

カブを改良したようなバイク。タイホンダ Wave125

エンジンに手を入れるのも他のバイクと比べて、部品も多いし。400ccなんかと比べれば価格は雲泥の差です。有名な所はキタコでしょうか。エンジンは小さくて軽いし、4ストとしてはこれ以上無いシンプルなエンジンなので、初心者でも自分で改造していくのも全然有りです。自分はカブのエンジンで失敗もしたし、色々勉強する事が出来ました。

キタコ 虎の巻
110の横型エンジン

軽さは正義と前にも書きましたが、リッターバイク等だと乗り出すまでに、「よし今日は乗ろう」とちょっと気合を入れないと。駐車場から出すのも一苦労するので、「今日はやっぱりいいや」と乗らない言い訳を作ってしまいがちです。カブ等のミニバイクは、ほぼ自転車みたいなもの(個人的に)なので。そういった言い訳は浮かんできません。

自転車みたいなものなので、近場を散歩したり散策したり。カメラを持って撮影したり、変な道に入って行ってみたり。そんな楽しみ方もミニバイクならではだと思います。

デザインがカブなんかはレトロ(ダサい、オジサン臭い)なので錆が浮いてボロくなっても、味ですましていますw勿論リトルカブやハンターカブのような可愛いバイクを大切に、綺麗にするのはとても大切だと思います。ただ個人的にリソースをそこに、かけれないだけです・・。

悪い点

125cc以下の原付ですので、高速道路や自動車専用道路は走行する事が出来ませんナビに原付モードが無いと、無料解放中の高速道路に案内されたりします。良く調べて置かないとストレスはたまると思います。

また、同クラスのスクーター達と比べれば、加速は差を感じると思います。エンジンのパワーと言うよりか、ギアが有るので。無段変速のベルトドライブのような、スクーター達には勝てません。パワーバンドまで回しても、ガチャガチャやってるうちに差が開いてしまいます

50ccなんかは特にパワー不足を感じます。フレームが頑丈でしっかりしているので、その分重いです。きつめの坂道では、1速でトロトロと走らないと登れません。

シートがシングルシート(社外品はセミダブル等も有る)なので、ほぼポジションが決まってしまいます。旧車や昔のネイキッドのような、地面と背中が垂直になるようなポジションです。お尻と腰に上半身の重さが全てかかるので辛いです。長距離、長時間乗ると腰に来ます郵便局員は腰痛持ちが多いのですが、このポジションのせいだと個人的には思います。自分も数年しかいませんでしたが、腰のダメージは未だに有ります。長距離を走るのにラクなポジションは、スズキ隼やホンダVFR800のような、少し前傾で腕にもある程度、体重がかかるくらいがベストだと思っています。腰だけで支えるのか、少しでも分散出来るのかの違いは大きいと思います。

またサスペンションも大きなバイク達に比べればストローク量が少ないし。底突きも早くクッションの悪いシートと合わさって。乗り心地は良いとは思えません。

長距離を走るのは、あまり向いて居ないと個人的には思いますが。逆に燃費やランニングコストが抑えられるので、長距離走行の辛さを克服出来る、割り切って扱える、猛者にはある意味、長距離を走るのに向いているバイクとも言えます。実際に作者の知り合いは原付二種で、日に500㎞(勿論下道)走ってしまう人もいます。工夫次第でやれる事が多いので、そこは玄人向けでもあるバイクだと思います。

まとめ

結局バイクと言うのは、言ってしまえば、楽しみ方は人それぞれです。オフロードを走るならオフ車。サーキットを走るならスーパースポーツ。ロングツーリングをするならツアラーと。そっちに特化してあるバイクは、それぞれの対応しているステージは良いと言えますが。他に使うとなると、それなりに覚悟が必要です。そういった事は、結局乗ってみる、やってみないと解らない部分でも有ります

その点カブの最大の利点は、ランニングコスト、車体自体も安いという事につきます。なので初心者がいきなり買っても損はしないと思います。無茶な要求にもコストをかけずに、ある程度はオーナーの望みに答えてくれます。バイクに乗る事自体が苦にならなければ、買ってみても損はしないバイクだと思います

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