最近のバイクはストファイを中心に丸目のヘッドライトではなくて、先鋭的なデザインのヘッドライトが多いですが。そういうバイクを乗れない層が居る理由を考えてみました。
- ネイキッドはストファイやネオクラのジャンルに入らない
- 人それぞれ限度のラインが有る
- 80年代日本のストファイが産まれた経緯
- ネイキッドとネオクラの違い
- ネイキッドが産まれた経緯
- 世界的に見たネイキッドの位置づけ
- これからの希望とまとめ
現在は日本人向けだった、ネイキッドのジャンルは縮小して。海外も意識した、ネイキッドのジャンルじゃないどっちつかずの物。ストファイの派生になるネオクラを
ネイキッドのジャンルに含めて呼んでる風潮が有りますが、そこは違うんです。
ネイキッドはストファイやネオクラのジャンルに入らない
ネイキッドはネイキッドでストファイの派生では無い。ネオクラはストファイの派生でネイキッドでは無い。カウルの無いバイク=ネイキッドと呼んでいるだけなのかもしれません。
そのカウルの無い異形のヘッドライトのストファイは、デザインも走りも尖りすぎててオジサンには先鋭的過ぎる。現物見てたしかにカッコいいとは思っても、自分が跨っているのを想像するとピンと来ないです。
現代の異形のヘッドライトのMTがダサいかと思うと、実際現物を見れば普通にカッコいいと思います。乗っちゃえば乗りやすくて戦闘力も高いし、バイクと言うおもちゃの楽しさを十二分に味わえる。そして旧車と比べれば、ランニングコストも抑えられる。良い事だらけのように思えます。でも(MT等を)自分で所有して愛情を注いでとなると、そこまでは無理なんです。100%趣味の世界だから。MT-09なんかはバイクの個性が強すぎて、自分はFF7のクラウドじゃないから。おじさんだから先鋭的な物に躊躇してしまうんだと思います。
人それぞれ限度のラインが有る
旧車が好きな人は特に、ここまでは良いけど、こっからはダメみたいなのが有ると思います。自分ならば250の丸目のホーネットやVTRがギリで、異形のヘッドライトのMTはもうダメです。じゃあ四角いヘッドライトの80年代の旧車。CBR400FやZ400GPなら良いのかというとそれもダメ。
ヘッドライトが四角くてもZ1000RやZRXのような、ビキニカウルが付いてれば大丈夫。CBR(400F)もハーフカウルや丸目にしてしまえば大丈夫。現行車で見れば丸目でもテールが短く、ナンバーベースやフェンダーが「にょきっと伸びてる」CB250Rはダメみたいな。なんか知らないけどラインが有るんです。空冷で80年代前半までとかそういう人も居るのが、自分の感覚では良く解ります。CBR400Fは、レーサーレプリカに近いフレームやタンクになってるのに、丸目なんておかしいじゃないかと思う人も居るでしょう。そこはちゃんと理由と歴史が有るんです。
80年代日本のストファイが産まれた経緯
スーパーツポーツを公道専用にアレンジしたのがストファイです。80年代もストファイと言うジャンルは確立されていませんでしたが、それに近いバイクは有りました。
スズキのコブラとかウルフ、バンディット。ホンダのCB-1。VFR400Z。セパハンでレプリカのカウルを外しただけ。
その少し前の時代は、若者がレプリカを乗ってコケてカウル割れちゃって、高いから直せない。なら外してハンドルやライトを変えれば。カウルレスやハーフカウルにすれば、軽くなるしお金も節約できる。峠とかストップ&ゴーみたいなジムカーナのような公道ならば戦闘力は高い。
また中古で転倒してカウルにダメージが有るようなのを安く買えば、入門機には丁度よい。テクニックを磨くにはちょうど良い。今でいうストファイは、イギリスでは先にカフェレーサーから始まったという説が有りますが。日本ではそういう感じで始まっていきました。つまりレーサーレプリカのカウルを外して丸目のヘッドライト、それなりに見かけたので余り違和感が無いんです。
そしてその頃、80年代はまだネイキッドってジャンルは有りませんでした。
ネイキッドとネオクラの違い
ネイキッドとネオクラの大きな違いは、成り立ちの違いだと思います。ネオクラは
SSの派生がストファイでその派生がネオクラ。現代は規制で開発費がかかるのでポンポンポンとコストを押さえつつ産まれてきたのが現実だと思います。
90年代に産まれたネイキッドのジャンルはゼファー400はZ400FXを踏襲してるエンジン。ゼファー750はザッパーの系譜。SFは水冷ですがCBXを踏襲してるエンジン。水冷のGSX400インパルスにしても80年代の空冷GSX400F(S)から続く血統です。全部が全部そうじゃないですけど、どこかZ1の時代~80年代前半のバイクに似せて有るけども、血もある程度繋がっているみたいな。若い人には90年代の話を持ち出して何を言ってるんだと言われるかもしれません。
ゼファーもSFも最初はFXやCBXのデザインを、打ち出して作ってはいませんが。古き良き日本車の血統を継いできてはいるんです。だから火の玉カラーやCBXカラー、FXのドレミの外装キットを付けて、オマージュしてもまだ許せる人が多いのでは無いかと思います。それすらもストライクゾーンに入って来ないのも自分には解ります。これじゃないとヤダ。この車種じゃないとヤダと思うのが旧車乗りだとも思っています。
だって思い入れが強くなければ、旧車を維持するのに心が折れてしまいます。
ネイキッドが産まれた経緯
Z1もCBX400FもZ400FX(Z750FX)も、当時は今でいうスーパースポーツです。メーカーが全て一番を求めて威信をかけて作ったもの。ゼファーシリーズやCB-SFシリーズ、XJRは既にレーサーレプリカというジャンルが有って、尖りきった物をあえて捨ててフレームやらエンジンを昔の100%だったFXやCBXを改良してそれなりに昇華させて作った物。
ネオクラはストファイのフレームや、エンジンの基本構成は同じで落とし込んだだけ。その違いの差です。
400ccならばRVF400とかZXR400が90年代は、CBX400FやZ1に当たるもので。逆車のCBR900RRとかFZR1000、ZX-9R。公道を走れるバイクでサーキットを走るならばこれが一番。これがメーカーの100%だったんです。車で言えば重量級のR32GTRとかスープラや軽いけどその分高いNSXに当たります。
400ccはもうちょっと安くて軽いシルビアやRX7みたいなイメージです。
今ネオクラと呼ばれるジャンルの、主流エンジンはほぼ水冷です。XSR900はMT-09のエンジン。3気筒なのでヤマハの3気筒は70年代のGXまで遡らなければなりません。ザッパーのイメージを意識したZ650RSはGPZ500の系譜の2気筒です。Z900RSはZX9RからのレーサーレプリカをストファイのZ900に落とし込んだエンジンです。カワサキはZ1やザッパーにデザインをどことなく似せて作っても共通点がほぼ有りません。同じメーカーなので歴史をたどれば、遠い親戚にはなるものの。改造手術されすぎて解らない。Z1やザッパーに中々繋がって来ない。空冷と水冷だから仕方無いのでしょうが、馴染みが無さ過ぎて旧車馬鹿の自分には、そこも取っつきづらい部分なのではと思います。
CB750(rc42)はCB750F
CB400SFはCBX400F
ゼファー400はZ400FX
ゼファー750はZ750FX-Ⅱやその前のZ650(ザッパー)
これくらい解りやすい方が、旧車のイメージをオマージュしてても受け入れられる部分が多いのです。XSRのRZカラーはそれはそれでカッコ良いと思うけど2ストのRZと共通点が無さ過ぎると思いませんか?80年代のオマージュでゴロワーズカラーなんて言うけど。ゼファーのFX外装や火の玉カラーならば、まだ買っても良いかなって思うラインの人でも。Z900RSの火の玉カラーまで行ってしまうと、勿論どストライクに入ってくる人も居るでしょうけど。ゼファーがラインのギリギリならば、受け入れられないんじゃないでしょうか。
寿司に例えればネオクラや、ストファイのデザインはカリフォルニアロールみたいなもんです。元は同じ日本の寿司ですが、向こうの人向けにアレンジされて進化して行った物。ネイキッドは日本向けに進化していった、ちらし寿司や恵方巻みたいな感じです。例えばの話ですけどカリフォルニアロールに
日本人の大好きな天ぷらやトンカツ、ハンバーグにカレーとやっても。丸目に2本サス、長いテールと融合させても。美味しいけども最初の寿司と大きく離れてくる。
日本の伝統の江戸前寿司が好きで、職人の握り(ヨシムラ手曲げマフラー)がどうとか。大間のマグロ(ケイヒンFCR)に醤油は川越の松本醤油(川口シート)で、ワサビは伊豆の生わさび(ビートのカウル)じゃなゃヤダとか。そんな所にこだわる人にカリフォルニアロールを出されても。同じ寿司だよと言われても、ピンと来ないんだと思います。
旧車好きでも、最新のバイクもカッコいいから買いたい、と中々思わない所はそこだと思います。現行車のストファイにクラシック感を出しただけのネオクラは、どこか中途半端感が否めないし。ストファイは先鋭的すぎて、日本人向けのネイキッドは数える程しかない。そうなると結局旧車好きは、旧車を真っ先に追ってしまうので旧車の価格が、どんどん上がってしまうのでは無いかと思いました。
世界的に見たネイキッドの位置づけ
ネイキッドの位置づけは、自分の考えるストファイやネオクラと違うと言っても。世界的に見ればストファイの中の、日本人向けの古臭いジャンル。くらいな認識だと思います。丸目にツインサス、長いテールとやっても。欧米じゃMTみたいな尖ったスタイルの方が好まれて売れないので、ガラパゴス化しているのが現実だと思います。
排ガス規制がどんどん厳しくなっていくので、昔からの空冷が作れない。メーカーも思うように作れないのも仕方ないとは思います。ネオクラが悪いって言うんじゃなくて、カッコいいと思いますし。乗りたい部分も有ります。ただネオクラはSSを公道向けにマッチさせたストファイを丸くアレンジした物で、日本で独自に進化したネイキッドではないんです。車種が少ないので仕方無い所も有りますが、そこは明確にして欲しいです。
これからの希望とまとめ
雑誌のヤングマシンによると(2022年9月現在)、公式発表じゃないですが、ヨンフォアのイメージを匂わせる、CB400SFの後継機が出るようです。カワサキもイメージはゼファーのようにも見える、400ccの4気筒が復活するのではなんて言われています。次期SFの後継機に中国向けの4気筒500ccを、400ccに落として日本向けになんて話が有ります。
400cc4気筒を作るだけで大変なのかもしれませんが、やるならストファイからネオクラの派生じゃなくて。SFやゼファーの血統を何かしら引き継ぐような、思い切り日本向けに振り切って欲しいと思うのは、自分だけなのでしょうか?日本市場だけじゃ元を取るのが大変なのは解ります。ただやっぱりネイキッドは消えていって欲しく無いです。新車に乗りたくなっても、ホイホイ買えるもんじゃないので、異形ヘッドライトのストファイには冒険し辛いです。
またネオクラとも違う、昔からあるオーソドックスなスタイルの見慣れたネイキッドが。丸目や2本のリアサス長めのテールカウルが。おじさんには手を出しやすいんです。そういった車種が今は少ないのでネオクラが許せる範囲に入って来る人、昔のバイクのイメージも好きな人はネオクラを買うので、それなりに売れてるんでは無いかと思います。またそのラインも入って来ない人は、フォアグラさんの言うような自分みたいな、丸目しか受け入れられない層。維持が大変でも00年代以前の旧車が乗りたくなるのでは無いかと思います。
まとめると
ネオクラは現代のストファイの尖った性能の部分を、少し丸くしてレトロ感を出した物。
ネイキッドは
前述した日本の古いバイクの血統。80年代以前のフラッグシップだったバイク達を主に改良してきた日本独自に進化した、ガラケーのようなガラパゴス化したバイク。歩んできた道が違います。
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