CBX400Fと言うバイク

CBX400F

CBX400Fをこれから買いたい方、又オーナーの人でも知らないような時代背景や、のちに名車と呼ばれるようになった理由をまとめてみました。

参考書籍

CBX400Fの一番凄い所

CBX400Fの一番凄い所は、他に似たようなバイクが無い所では無いでしょうか。後継機のCBR400Fもエンジンこそ似ているものの、インボードディスクでは無いですし、共通点はそれ程無い。同じ名を持つCBX(1000)やCBX750Fもコンセプトやイメージが全然違います。CBX550Fは逆にCBX400Fを元に、欧州向けに作った改良バージョンなのです。

cbx750f ホライゾン シャフトドライブ リアドラム

今見ても他に似たようなバイクって有りますか?エンジンの系譜こそCB400SFに続いているものの、CBX400Fは孤高の存在なのです。

82年に3万1533台と大爆発した理由

「444」の戦い

Z400FXとCBX400F

カワサキZ400FXが79年4月に発売され大ヒットし、翌年80年6月にヤマハがXJ400、次は81年4月にスズキがGSX400Fを出し。400cc4気筒の新車ラインナップは、ホンダだけが未だに無い状態でしたが。
なめ猫の流行った81年末にCB400Fの生産終了から約4年後、ホンダの400cc4気筒が戻ってきた。


CBX400F

そりゃ売れるわな。資料を集めて思ったことは、その一言に尽きると思います。「444」(4スト400cc4気筒)の戦いの最後発でズルい、良くて当たり前そんな声も有りますが。逆にそれだけの物を作らなければならなかった、メーカーエンジニアにかかるプレッシャーは、相当なものだったと思います。

アメリカ?で撮影したらしい・・

そして当時としてはカタログに有る、400マルチ、今クライマックスの通り、バイクブームのピークに値する(年間販売台数のピーク)4メーカーの戦いの1つを締めくくるに値する、期待以上の物を完成させたられたと言えるんじゃないでしょうか。
その結果は販売台数に如実に表れ、デビュー後の82年には年間3万1533台と大爆発し、年間の記録としては、250cc超では未だに破られていない。(累計販売台数は約6万5000台)250cc以下はVT250Fが3万7000台近く売り上げている。(正しくは登録台数かもしれません)

400ccは400ccの専用設計で

開発コードは部品番号にも出て来る「MA6」CBXの残した功績はとても大きいと思います。

まずはレスポンスの良いエンジン

エンジン型式NC07E・空冷4サイクルDOHC4バルブ4気筒始動方式セルフ
総排気量 (cm3)399点火方式トランジスタ無接点式
内径×行程 (mm)55.0×42.0潤滑方式圧送飛沫併用式
圧縮比9.8潤滑油容量 (L)3
最高出力 (PS/rpm)48/11,000燃料タンク容量(L)17
最大トルク (kg-m/rpm)3.4/9,000クラッチ形式湿式多板コイルスプリング
キャブレター型式VE50A変速機形式常時噛合式6段リターン
CBX400Fプロトタイプ

後にネイキッドと呼ばれるようになったスタイル。

赤ソリはモンツァレッド(モンツァはイタリア、フェラーリ?)

そして400ccは大型車のスケールダウンでは無く、「400は400で良い所が有るんだと」400ccならではのライトウェイトスポーツ。軽快に回る官能的なエンジンと合わさった。400cc専用設計を市販車でも作って来た事。性能の高さとは突き詰めれば、誰にでも扱いやすい事に繋がるとホンダが示し、そしてそれが当たり前となった事ではなかろうか。

67年のCB750FOURや72年のカワサキZ1で、大型車には当たり前になった4スト4気筒エンジンは。80年頃のZ400FX、XJ400、GSX400Fで400ccも当たり前になっていく。そして今度はCBXのエンジンがホンダの、いや日本の400ccの当たり前になって行った。55mm×42mmのボア×ストロークは、空冷、水冷、可変バルブなどの違いは有るものの。後継機のCBR400F、CB-1、CB400FOUR(NC36)。そして現在のCB400SFまで採用される程、下から上まで扱いやすく素性が良い。それでいて高回転のパワーバンドでは、パワフルで鋭い加速を魅せる(+官能的サウンドこれ大事w)。SFは教習車の定番で、まず乗る事になる人が多い。「バイクってこうなんだと」最初の基準になる、言わば400ccのジャパニーズスタンダードと言って良いエンジン(台数も売れてますから)になったのではなかろうか。

CB400SF。教習所の定番だが、教習車は馬力が抑えられている。
水冷CB400FOUR(ネオクラの先駆け?)
CB-1(ストファイを先取りしすぎた?)

ジャパニーズスタンダードとなったエンジン

CBXのデビュー前「444」4スト4気筒400ccの、他社ライバルの加速性能はまず、FXは出た当時で既に型遅れとなっていた2気筒のホンダのホーク2にすら、快勝とならず(重いFX)。その後のXJ400とGSX400Fは(FXより)10kg以上軽く作って来たが、同時期80年1月に出た2気筒の、GSX400Eと比べればこれまた勝てるかどうか怪しい。(GSX400Eは速かったが、ユーザーのニーズは4気筒だった)

スズキ GSX400E
ヤマハ RZ350 スロットル操作でフロントが浮くようなバイク。水冷2ストローク並列2気筒。

400cc4気筒を出しても常に2気筒の影が付きまとっていた。

そんな中CBXは48馬力(勿論当時最高)と、レッドゾーンが11500rpmからと言う、当時の市販車としては超高回転エンジンに。ややローレシオだか繋がりの良いクロスミッションを組み合わせて。超高回転型エンジンの弱点低回転のトルクの無さを補い。そして6000rpmからのパワーバンドは、徹底的なフリクションの低減を求めた結果、他社の何処かワイルドな吹け上がりとは違う。空冷ながらも異音の少ないホンダの精密さを体現した、初めて味わう官能的なフィーリングだった。(この辺が暴走族にも人気がでた理由)

そのレスポンスの良いエンジンは、CBXの少し前に出ていたナナハンキラーや、走る棺桶と呼ばれていた2ストのRZ350に迫るような、フィーリングとレスポンスの良さを見せた。
0-400m(ゼロヨン)加速はRZ350の、13.3秒に及ばない13.6秒なものの。
最高速で179.6㎞とRZ350の178.7㎞を上回りリッター当たり120馬力という、当時最高の出力をキッチリと証明した。

ホンダのお家芸とも言える、時計のように小さくても精密で、第一期のF1から培った、高回転高出力でDOHCのマルチエンジンが、結果的にCBXでも遺憾なく発揮される事になったが。そんなCBXのエンジンの開発は、順風満帆で有った訳では無い。
他社に性能では絶対に負ける訳にはいかない。ならば必要なのは水冷エンジンで有ると、開発当初は400cc初の水冷で行くつもりでした。しかしユーザーに受け入れられるか未知数であり、途中で空冷に方針転換する事になった。

軽量コンパクトを達成させる為に、クランクからの動力伝達にギアのカウンター軸を持たない。チェーンからミッションへという三軸方式にした。
チェーンを噛ませるギアの配置を3と4番の間に置いた為に、各シリンダーのピッチがバラバラになった。
同時期のCB750Fもチェーン伝達で有るものの、。プライマリーシャフトが有ったり、それを省いたのはこの時代ではCBXのみで、当時クランクが逆回転するのは極一部の車種しかなく、コーナリングに影響が出ないかという問題も有った。
クランクの問題は、現在はウィリー抑制やエンブレ安定の為MOTOGPや一部のスーパースポーツに積極的に採用されている(今でも少ない)、有る意味時代を先取りしてしまった機構の一つと言えます。

水冷も使えず、コンパクトなエンジンを求めれば、冷却に問題が出た
出力が上がれば熱量は増えコンパクトにすれば、放熱面積も狭く、オイルを貯めて置く場所も考えなければならない。
CB750 FOURのような、オイルタンクを別に持つドライサンプにしたかったが。400ccの限られたスペースの中では限界が有る。またコストもかかる。
ならばと、当時許可が出なかったオイルクーラーを、オイルを貯めるタンクという事にして、認可して貰う事に成功し、オイル量と冷却性能をクリアしました。

異例尽くしのエンジン開発でしたが、当時の【挑戦者】と言うホンダのスピリットを感じられる、エピソードです。

国内
海外

他社ライバルのような【スケールダウンではない車体】

車体の開発指令が出たのが、FXの約一年後。XJが出る少し前の80年春ごろで。81年の東京モーターショーには出すという、厳しいスケジュールでした。2気筒のホーク2や3では販売面で勝てない、性能面でも時代遅れとなりつつ有る中、開発コードMA6(CBX)の開発が急がれました。
その後の同年(80年)の8月にスーパーホーク3として、クラス初のトリプルディスクを採用したりイメージを一新して、CBXまでの繋ぎに。あわよくば80年1月発売の、2気筒スズキのGSX400Eと共に、4気筒のFXに一矢報いようと言った考えが有ったのかもしれません。

ホンダ スーパーホークⅢ
400cc初のトリプルディスク

他社のライバル車は・・。

400cc4気筒のニーズが、ナナハンのような4気筒が欲しいと言う理由だった為。Z400FXは500ccのZ500がベースXJ400とGSX400FにしてもFXに準ずるような(750ccを意識した)大きな車体。軽快なスポーツ車としてのブレーキングや、コーナーでの切れ味よりも。大人向けのツアラー、高級路線で。ホイールベースやタイヤサイズを見ても、CBXよりもやや安定志向なのが解る。

全長 (m)2.06車両重量 (kg)189
全幅 (m)0.72乾燥重量 (kg)173
全高 (m)1.08重車定員 (人)2
軸距 (m)1.38燃費 (km/L)40(60km/h定地走行テスト値)
最低地上高 (m)0.14登坂能力 (tanθ)0.46(約25度)
シート高 (m)775最小回転半径(m)2.2

一方CBXは・・。

逆にCBX400FはFXをライバル視しつつも。FXのような「乗りこなして見ろ」と言わんばかりの硬派さとは全く違った「乗りやすさ」を全面的に打ち出し。足つきの良さ、車重が軽くコンパクトで、取り回しからの扱いやすさ、クラッチ、ブレーキ等の操作系やハンドリング。そしてエンジンの吹け上がりを含めた全てに置いて「軽快さ」を求めた開発をし、全長やホイールベース等も一回り小さく纏め。他社の400cc4気筒と全く違う回答「良くも悪くも乗り手を選ばない扱いやすいバイク」と言う、今のホンダ車にもよく言われそうな答えを出した。

癖が無いから味が無いと言われようが、後継機のCBR400Fまでの短い間だが。RZ350のような過激なバイクとはまた違う、当時の最高レベルの性能を変に構えずとも、低速走行から誰にでも解るように性能の高さを感じられるよう作り上げた事が、年間3万台超という金字塔を打ち立てた理由の1つでは無かろうか。(現在は年間1万台も中々見えて来ない)

これでもかと、当時のホンダの最新技術を投入

その一回りコンパクトに纏めた車体には、これでもかと言う程当時のホンダの最新技術を投入すると共に、新たな挑戦をした。
TRAC(ブレーキトルク応答型アンチダイブ機構)
ロードバイクとしては初となるプロリンクサス。(モノサスは各社で独自の物を開発していた)
そして市販車としては世界初となる、中空アルミキャストスイングアーム
インボード、ベンチレーテッドディスク

世界初アルミキャストスイングアーム
プロリンクサス
アンチダイブ機構のTRAC

この一時期はV型エンジンのVF400Fや、VT250F2スト3気筒のMVX250Fなどインボード+コムスターが採用されていました。
コムスターホイールは、キャストホイールが認可されていなかった78年までは、軽さとしなやかさを併せ持ち、チューブレスタイヤも履けると利点も多かったが。
キャストも開発が進み、弱点の重さを克服できるようになってくると(当初は頑丈重視、品質過剰で重かった)、ホンダのモデルも同車種のモデルチェンジ時に、コムスターからキャストに変更していった。

CB900Fが意識したレーサー RCB

インボードディスクブレーキは実際にどうなのか

外からはドラムブレーキの要にも見える。中に「鋳鉄製のベンチレーテッドディスク」を初搭載したインボードブレーキは、CBXの人気によってミドルクラスのレースが熱を帯びてくると。弱点の整備性の悪さによって、パッドやタイヤの交換に時間がかかると言う訳で、数年で消えていきました。
このブレーキ個人的には整備はめんどくさいし、一般的なステンのローターと違い常に錆びる。錆びたブレーキダストが飛び散って、掃除がまためんどくさい。
更に社外品が手に入る訳でも無いので、部品調達もめんどくさいとデメリットは沢山有ります。
ただ鋳鉄ディスクのこの独特なブレーキタッチは、中々味わえる物では無いです。フレームも軽量コンパクトにする為に、頑丈とは言い難いですし。CBX400Fは片側ディスクなので、バネ下の重さもあるし片側によれる。ハンドルがブレる感じが有るのは、確かに仕方ない部分も有ると思います。
効かないと言われるのは初期タッチ、効き始めがマイルドな特性だから。真綿フィーリングと呼ばれるように、ブレーキレバー握れば握るほどじわじわと効いてくる。慣れてしまえばコントロールはしやすいし、これはこれで良いと思えます。
2枚のディスクを合わせて、中にフィンを挟んだ鋳鉄製のベンチレーテッドディスクは、単体で見れば非常に利点の多い物となっています。現在もスポーツカーで使われている事が、なによりの証明です。

ベンチレーテッドディスク

ブレーキに求める事は、運動エネルギーを熱エネルギーに変えて、その熱を効率よく排出する事。鍋にこだわる人やPCの冷却を考える人ならば、すぐに理解できると思いますが。一般的に鋳鉄はステンよりも熱伝導率が高い

CBXのレギュレータも放熱性を考えて 熱伝導率の高いアルミが使われている

鉄よりもステンは温まりにくく冷めにくい素材です。更に力に対する変形もしやすい運動エネルギーを熱エネルギーに変える。言わば「冷えたり熱くなったりを繰り返す」ブレーキローターには向いてないとも言えます。
実際歪んだりしますし、ぶっちゃけ錆びにくいからと言うメリットがデメリットを上回っているんだと思います。
また素材の配合のデーター蓄積や、加工技術の進歩も有りますし、バイクの車重程度では熱量的に問題が無いと言う結論でしょう。そもそもローター単体の話ですので、インボードが優れていると言う訳ではありません。カタログには冷却ファン、パーツリストにはキャリパーと書かれている部分ですが、そこは空気取り入れ口が張り出しているのでまだ解るのですが。ディスクカバー。要はインボードリングの方は、回転する部品なので空気の流れが常に安定しないように見えるし、カタログの言う高い放熱性はどうなんだろうかと思います。リング無しの方が直で風も当たるし。RS400Rキットを取り付けたレース車両にもリングを外しているのを見ます。個人的には錆を隠す為と言うのが、メーカーの本音だったように思えます。

RS400R

市販車初のスイングアームと性能重視のプロリンクサス

中空のアルミキャストスイングアーム。要は中が空洞になってる鋳型で作ったアルミ製のスイングアーム。今ではアルミのスイングアームは当たり前になっているが、CBX400Fが市販車初採用となった。
後にスズキRG250γの登場で、高性能車はフレームもアルミになって行くが、アルミスイングアームは開発に苦労した。

当初は部品点数や工数を少なくして、コストを抑えたかったが、試作品は剛性を上げられなかった。また中が空洞な為に振動を拾って音が出た。リブを入れたりウレタンを入れたり、試行錯誤した結果良い物は出来たが、コストは抑えられなかった

オフロード車や、既に発売されていたヤマハのRZにも採用されていたプロリンクサスモノサスは、2本サスと比べて、サスが見えなくなってしまうので見た目が寂しいです。しかし今までのダブルクレードルフレームに比べて、上下を繋ぐメインパイプを2本から1本にできる。その分フレームを軽くコンパクトに出来て、サスペンションからの応力をその1本のメインパイプに縮まる方向で受け止めることが出来。更にフレーム強度や重量も抑えられ、コンパクトに出来。コストも削減出来て、良いこと尽くしになった。当時のインプレッションでの評価はワインディングでもサーキットでも、速から高速まで抜群の安定性と快適性と「最上級」の評価を受けた。(本当に癖の少ない乗りやすいバイクです)

ネイキッドはCBX400Fが先駆けだった?

エンジンが異例で有れば車体は初物づくし。のちに当たり前の装備として、成功として残った物も有れば。ある意味プロトタイプのような失敗として、消えて行った物も持ち合わせるCBX。
ホンダの予想を超える大ヒットとなった。だがそんなCBXの頂点も長くは続かなかった。当時の開発競争、世代交代は激しく。発売翌年82年にはカワサキが、FXの後継機Z400GPを。年末にはホンダからも水冷のVF400Fが53馬力を引っ提げ。更に83年12月には後継機となる、可変バルブ機構「REV」を装着したCBR400Fが、58馬力という後にメーカーの自主規制(89年に59馬力まで)となる、53馬力(92年から)を超えていく時代へなっていきます。
またこの時期83年3月に、スズキRG250γの投入でレーサーレプリカという新しいジャンルが芽生え初めていた。
だがそちらとは一線を画す層。当時ネイキッドというジャンルは無かったが、CBXが欲しい。そういったユーザーの声で(単純に人気が有ったのも大きいと思います)、翌年に2型として再販し、86年2月まで生産された。

レーサーレプリカのような、スペック競争最前線とはまた違う。高性能を突き詰めてデザインやスペックが塗り替えられていくバイクよりも。誰にでも乗りやすい「普通のバイク」が欲しい。

異例の再生産となりました。XJ400のカタログにもラグジュアリースポーツと書かれているように。いきなりCBXも、のちのレプリカのように冒険は出来なかったとは言え。タンデムも考えられた大きなステップや厚みのあるシート。エンジンとフレームの間に1か所だけゴムを挟んだ振動を抑えるマウント方法や、重くて大きいが消音の効いた2本出しのサイレンサー。セパレートハンドルながらも、それ程前傾にならないポジション等。
街乗りやタンデムまでも気兼ねなく乗れるよう配慮した。そこにはスポーツ車として性能は高くとも、快適性をバランス良く残して来たから。レプリカとはまた違う、気兼ねなく乗れるバイクとはネイキッドバイクの事で。90年代のネイキッドブームの先駆けとなるような事も有りました

デザインはヨンフォアと担当者が同じ

ヤングマシンより。CB400FとCBX400F

デザインはCB400Fも担当した佐藤允弥(まさひろ)氏ヨンフォアの特徴的な流れるようなエキパイをオマージュしたようなCBXのXをイメージしたクロスするエキパイは、テストではブレーキでフロントフェンダーに当たってしまい。仕様変更しなんとか「もの」にした。17ℓの大きなタンクはニーグリップがしやすいように、若干えぐりが入っている。
そしてCBXの特徴とも言える、ポルシェテールとも言われる一体型のコンパクトなテールランプは、保安基準のギリギリまで幅を詰めた。
タンクからサイドカバー、テールカウルまで繋がるデザインは先輩にあたるCB-Fのデザインが、やはり大きく影響されていると思う。後に三色に塗り分けられた塗装はCBXカラーと呼ばれて。CB400SFにも採用される有名な配色となり、後に残った

好き

ホンダとしてはこれだけの事を、400ccの単一車種としてプロジェクトを立ち上げて開発した事が、後に名車として名を残せた理由ではなかろうか。
後のCBX550FはCBX400Fを作ってからの話で、そこからの派生で有る事が違う。CB-FにしてもSRにしても、大きい方を作ってそれを元に400もと。免許制度の弊害でも有るが、CB750FOURをスケールダウンしたCB350FOURを元に作った、CB400Fでは専用設計とは言えず。コストダウンを目的にした事が裏目に出たヨンフォアの失敗を。ホンダの先輩にあたるCB-FやFX、GSのような他車種と共通でコストを抑えてとならずに。単一車種でと思い切り振りきれた事は、戦略さえ間違えなければ「444」のこのジャンルは売れると。先行した他社のライバル達が、証明してくれたからでは無いからでしょうか。

アマチュアレースで上のクラスを超えたRS400R

その他社のライバル達と比べても、一つ抜きんでた事を証明したのは、サーキットでの評価では無かろうか。FXは重い、XJはデカいしヤマハの戦略がラグジュアリースポーツと言う位置づけ。GSXはヨシムラとのコラボでインパルスを出してきたが、伸びしろを使ってのCBXと同じ48馬力
対してCBXは55馬力まで上げられる、ホンダからサーキット用にキットパーツが販売された。

鈴鹿8時の前座レース、アマチュアレーサーの甲子園。82年の鈴鹿4耐では予選を勝ち抜いた60台中、26台と言う異様な状況になる。量産車ベースのTTF-3クラスはお金がかかる為、スーパーストリート400クラス(SS400クラス)という新カテゴリーを作り。それに合わせてホンダが作ったレーサーがRS400Rです。ミッションやマフラーやカウルにシート、ポート研磨等キットパーツを個別に販売した。RS400Rと言うコンプリート車は販売されなかった。RSC(HRCの前身)のパーツは高いし、キットパーツという事で、場所によって他社の別パーツを取り付けたり、例えばVF400Fのリアホイールを流用してワイド化する等。それぞれ工夫を凝らしてレースに参戦していた。82年の鈴鹿4耐ではFXの後継機Z400GPが発売していたので、CBX400FとZ400GPのホンダVSカワサキの対決が注目された。その中にヤマハXJやRZ250が虎視眈々と目を光らせていた。結果はCBXがトップでゴールしたが、ペナルティを受けてZ400GPがデビューウインを飾った。この年1位2位は、改造範囲の狭いSS400クラスがTTF-3クラスを破る結果になり。下剋上を果たし?翌年この結果を受けて、83年の鈴鹿4耐では300台近いCBXがエントリーし、アマチュアレーサーの憧れ、鈴鹿で1花咲かせ名を上げて、果てはプロライダーへというような夢が、RS400Rで登竜門としての入り口が広くなっていった。そしてレーサーレプリカブームの前兆。レースの人気が高まっていく事にもなりました。

RS400R

普通のバイクはCBX400Fから始まった!

と、大分長々とCBX愛を語ってきました。多少盛ってる部分も有りますが、総括するとCBXの魂は現代にもCB400SFに脈々と受け継がれていると思います。
流石にSFに比べればCBXはエンジンにしても、車体、サスやブレーキ、タイヤまで。CBXが81年発売SFは92年が最初と、10年以上の隔世が有ります。その10年もバブルの絶頂期、過剰な各社によるコスト度外視のようなスペック競争(主にレーサーレプリカ)を経ての10年です。
CBXからREVのCBR400F。CB-1、SFベースの水冷CB400FOUR、そしてVTECのSFと積み上げてきた、熟成を重ねての今現在のCB400SFの姿が有ります。

CBXもそう。CB350FOURやCB400FOUR、もっと前のCB750FOURの開発が有って
その上でのCBX400Fです。CBXが出た当時から癖が無いから個性が無い、乗りやすいだけ、女の子バイクなんて声も有りました。(ほんとに乗りやすいです)今もCB400SFにはそんな声が聞こえます。
それは逆に誉め言葉にしかなりません。バンクしたければスムーズに倒れる。加速したければスムーズに加速する。どこまでも行き過ぎず足りなすぎず。乗り手の要求によってニュートラルな応答(レースで活躍するの車両は結局ここに行きつく)をする。CBXもSFもそれを高いレベルで市販車に落とし込んで、販売してきた事が凄いと思います。

個性のあるバイクってなんなの?作者の愛車に単気筒のSR500が有ります。遅いし、振動は嫌になるし。でもその振動が楽しい所も有る。燃費もまあまあ良いし軽い。
RGV250ガンマはもっと軽くて、パワーバンドの加速は自重をしなければならない程。コーナリングもブレーキングも切れ味がするどいが燃費は悪い。乗り手の見かたによっては、光も有れば闇も有る。それって何と比べてとなると、一番比べ安いのってSFなんですよね。

CBXもSFもその時代の、ど真ん中の位置にドーン(販売台数を見ても市場の中心)と。高いレベルで鎮座した事。ホンダの400ccマルチの基準、つまり日本車の400ccの基準。スタンダードとなった普通の高性能なバイク」が、このCBXから始まったのでは無いかと思います。

日本の400ccの4気筒は2022年に生産終了になってしまいましたが、次の世代にも受け継がれて行くと期待しています。(またカワサキ?)

コメント

タイトルとURLをコピーしました